寮生活

典型的(!?)な寮生(A君・B君・C君)の生活をご紹介します。


A君の場合

 朝6時半に目をさます。ああ、すがすがしい朝だな、今日も1日がんばろう、などと感じながら歯を磨く。今日も朝から早祷で聖書を読むことから始まる。食堂に下りていくと、少し前まで人がいた気配。誰かが夜更かしをしていたのだろうか。

 いつものようにパンを取り出し、オーブントースターで焼く。自分が一番に起きたようなので、玄関に新聞を取りにいき、食事をとりながら一通り目を通す。

 駒場生のため、本郷生のように授業開始5分前に出かけるというわけには行かないが、寮の真下を通っている東京メトロ南北線を使えば、駒場まで40分ほど。早祷後すぐ出れば十分1時間目に間に合う。便利なものだ。

 学校から帰るともう18時。ああ、おなかが減った、と思いつつ食堂に行くと、できたての夕食が待っていた。いつ帰ってもレンジで温めて食べられるとはいえ、やはり出来立てが一番と思う。

 部屋に戻る途中、3階の電話が鳴る。応対するとC君への電話だったので、まだ帰っていない旨を伝える。ふと目の前のホワイトボードを見ると、明日の早祷がA君の番であることが分かった。さらに、トイレの掃除当番にも当たっているではないか。トイレ掃除をしながら、早祷で何を話そうか考える真面目なA君であった。


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パン:朝食は食パンと肉類(ハム等)、野菜が用意されている。水曜は納豆にご飯。

新聞:朝日、日経、Japan Timesと充実の計3紙を購読。共同生活ゆえの贅沢。

南北線:寮の玄関から徒歩3秒。傘いらずの場所に東大前駅のエレベータがある。そこを降りれば改札は目の前。まさに真下にある。発車数分前に寮を出れば間に合う。

夕食:栄養バランス抜群。担当の方が毎日の食事の世話をしてくださっている。退寮した寮生がその反動で突然体調を崩すことがよくあるらしい。日曜・休日は無し。

電話:3階に共用の電話&FAXがある。気づいた人が対応し、放送で呼び出す。個室に持つ者もいる。

ホワイトボード:日直、早祷、掃除等の担当者や、その他連絡事項が書かれている。

早祷:毎朝7時に舎生が集まって、讃美歌を歌い、聖書を輪読し、担当者が持ち回りで話をする、という要領で進行する。話の内容はキリスト教に関連するものであることが原則だが、真面目な信仰告白から、うんちく、専攻内容、将来のキャリア設計、痴話まで、まさに千差万別。その人のキャラクターがもっともよく現れる場である。当寮にとって最も基本となる集会。

掃除当番:廊下、トイレ、食堂、風呂などの掃除を週ごとに分担して行っている。また、毎月1回大掃除を行う。
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朝七時、目を覚ます。今日は早祷の担当だ。いつもの7時に全館放送。絶対にみんなを起こしてやる!と意気込み、テンションを上げるべくパンクロックをバックミュージックに絶叫・・・快感☆。皆で賛美歌を歌うのは良いが、聖書を読んでいるときは皆眠そうだ。せっかく起きてもらったのだから、面白いと思ってもらおうと必死で話す。

朝食を食べるが、朝からテンションを上げすぎたため、二度寝。二限が始まる十時三十分に間に合うためには、十時に起きれば余裕。いや、近くてよかった。昼休みに寮に戻ってきて、昼食。そして、三十分昼寝。いや、近くてよかった。おかげで午後の授業も眠くならず、すっきり受けられる。

夕方戻ってくると、食事のいい香りが寮内を満たす。とはいえ、出来上がるまでにはもう少し時間がかかるので、大好きな弾き語りをしようと思い立つ。礼拝堂で暗くなりかけた外を眺めつつ歌う歌は格別。一時間もやれば、もうお腹はペコペコ。夕食は量も質も素晴らしく、ともすれば食べ過ぎるので、太らないかが心配だ。食堂では社会情勢や時事ネタについてそれぞれのバックグラウンドから面白い議論がなされている。

今日は木曜日なので九時から舎内総会が行われる。寮の運営方針や日々気づいた事などを皆で話し合う。長引いてくると皆テンションがおかしくなり、みんなでラーメンを食べに行く。

今日は日直であったことを思い出しブルーになるが、日直ノートには舎生の肉声がつづられているので回ってくるのが楽しみだ。ノートに最近あった胸のトキメキをつれづれなるままに書きつつ、今宵もふけていく。

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賛美歌:そのときの寮の構成メンバーによって賛美歌の流行がある。爽やかなものから凝ったものまで。朝から余りにマイナーな曲を選ぶと誰も歌えない。

学校:確かに近い。学部にも寄るが、これ以上の近さは望めない。B君はきちんと昼寝をしても起きているが、そのまま寝ブッチしてしまわない保証は全く無い。

礼拝堂:誰も使っていなければ自由に使える。楽器の演奏やダンスの練習などなど

夕食:舎生は常に空腹である。どれだけ食べても空腹である。お土産のお菓子などは一晩で闇に葬り去られる。

議論:さまざまなことに対していろいろな角度から議論がなされるところがこの寮の最大の醍醐味といっても過言ではない。自分の全く知らない分野の話をわかりやすく解説してもらうことはかなりためになる。

ラーメン:かつてはYMCAに入舎してしばらくすると歓迎の意を込めて白山まで深夜ラーメンを食べに行くという通過儀礼があった。現在ではなんと寮と同じ建物の中に二郎インスパイア系のラーメン屋が存在している。その濃密な味とボリュームにいまや中毒者は数知れない。

日直:玄関閉め、食堂の片付け、ゴミ出しなどを行う。効率よくきちんとできるようになるためにはやはり経験と指導が必要。
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C君の場合

毎日実験に追われているC君であるが、食生活はきちんとしようと九時ごろ学校から戻ってきて食事をし、再び実験に戻るという生活をしている。おかげで余り無駄な出費も無く、効率的な生活ができる。しかし、今日はどうしても途中で抜けられず、帰って来るのが深夜になってしまった。自転車で帰る途中、コンビニで牛乳を買って帰る。

早速食事をしようと食堂へ。深夜にもかかわらず、A君とB君が食堂でゲームをしている。ストレス発散すべく乱入するが、返り討ちにあう。ま、こういう日もある。食堂ノートに目を通し、かなり眠かったのでさっさと退散、風呂に入る。週掃除の人が掃除をした直後なのか、とても綺麗で気持ちが良い。掃除ノートに感謝のコメントを書き添えておいた。お互いに感謝の気持ちを忘れず、助け合う風土がこの寮にはあり、素晴らしいと思う。

歯を磨きながら、早祷ノートでB君の話をもう一度確認し、興味を覚える。今度の早祷の時には彼の話を踏まえて話してみようと考えながら、横になった。

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自転車:立地上、違法駐輪がとても多いのでYMシールを貼って区別。貼っていないと撤去されるので気をつけよう。

コンビニ:農学部前にあるセブンイレブンが舎生の食料庫。人間の活動すべき時間に活動している人であれば自転車でコープ東京まで買いに行くのがスタンダード。コープの近くにはレンタルビデオ屋もある。結構安い。

ゲーム:食堂にプレステが設置されている。ソフトもかなりの数があり、対戦型ゲームには人が群がる。ボンバーマンや野球、サッカー、格闘ゲームなどなど。DVDも視聴可能。最近テレビを新調しQOLがうなぎ登り。

食堂ノート:公式連絡の場。若者の魂の叫びや漫画の切抜きが貼られることもある。好きな女の子の名前で1ページ埋めたという伝説もある。伝説よ再び。

風呂:現在二つの風呂が稼動している。ひとつは1時までだが、ひとつは24時間使うことができるようになった。これによって待ち時間もほとんど無くなった。

早祷ノート:早祷の内容を記述するノート。自分の早祷の内容を読むのには勇気がいる。食堂ノートとともに過去のものもすべて保存されている。戦時中のものや、大正時代のものまで。しかし、昔のものはドイツ語で書かれていたりして、かなりの教養が必要になる。字の下手な人が書いたノートを読むのにも、ある意味教養が必要かもしれない。

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